2007年11月16日

ニジェールサウルスの歯

 ニジェールサウルス(Nigersaurus taqueti)がニュースになっていますが、気になったのはその歯ですね。

 生え変わる歯も含めると、500本以上の歯があるそうですが、前に並んでいるのは、上下それぞれ60本程度。残りはどこにあるのでしょうか。



 下はその頭部です。論文を一部修正しました。歯はみごとに前方だけに一列に並んでいます。
 奥歯どころか、横のほうにも歯がありません。


 論文によると、上あごには、片側に4本の前上顎歯と25本の上顎歯からなる58本の歯があり、下あごには、34本の上顎歯からなる68本の歯があるそうです。
 見えている歯は、合計126本ということになりますね。

Nigersaurus_01.jpg



 それぞれの歯は、"tooth battery" というパックになっているそうです。

 現生のサメのように、次から次と歯が入れ替わるわけですね。断面から推定した歯が入れ替わる速度は、月1回か2回とされています。

 これは、ハドロサウルスのデンタルバッテリーと同じ速さだそうです。同じバッテリーといっても、ハドロサウルス類のように、植物をすりつぶす能力は無いでしょう。

Nigersaurus_02.jpg


 下は下あごを上から見たところ。黄色いとうもろこしのようなのが、前上顎骨歯と上顎骨歯で、オレンジが歯骨歯(dentary tooth)です。図の右側で34本あります。

Nigersaurus_03.jpg


 参考:Structural Extremes in a Cretaceous Dinosaur、Paul C. Sereno et al,. PLoS ONE 2(11): e1230, 2007


 
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2007年06月20日

ファーブルの愛した南仏と、ファーブル好きな日本人

 ファーブルが教師を辞めて、有名な昆虫記を書き始めたのは55歳からなんだとか。全10巻にもおよぶ大作です。


 そんなファーブルの研究について紹介する「ファーブルにまなぶ」展が、7月1日から、北大博物館などで開催されます。「昆虫記」刊行100周年を記念し、科博など、日仏の6つの博物館で巡回される予定だそうです。


 ファーブルやその「昆虫記」がこれほどよく知られているのは、世界中で日本だけだそうで。そういえば、子供の頃、読んだ記憶が・・。日本人は虫というか、自然が好きなんですね。
 ファーブルの地元フランスでは、虫は害を及ぼすいやなものと考えられているそうです。


 まあ、昆虫展もいいのですが、標本箱に入ったのはちょっと・・ですね。豊かな自然環境と共にあるからこそ、美しいと思うのですが。
 

Fabre.jpg

 ファーブル昆虫記の旅(新潮社)は、昆虫好きの大人二人が、「昆虫記」ゆかりの南フランスを旅した旅行記。
 昆虫の写真は割と少なくて、エクサン・プロヴァンスやコルシカ島など、田舎の美しい自然の写真がやたらと多いので、楽しめます。
 外国人が殺到すると嫌がられるので、村の実名は伏せられたりしています。いいなぁ、南仏(^^)。

 カバーは、ラヴェンダー畑で補虫網を振る奥本さん。ファーブル昆虫記(集英社)の翻訳者です。
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2007年06月07日

恐竜のイナバウアー

 
 荒川静香選手の"イナバウアー"のように、体を大きく弓なりに反り返って発見される恐竜化石をよく見かけます。

 たとえば、下のオルニトミムス類のストルチオミムス(Struthiomimus altus)です。クリックすると全身骨格が見られます。

 この反り返り、反弓緊張(opisthotonus)というらしいのですが、これは死後硬直によるものではないとする論文が報告されています。詳しくは、恐竜の楽園(明日6/8のニュース)で紹介します。

 ちなみに、"イナバウアー"も、正確には"体を大きく反らしながら滑ること"ではないようですね。

Struthiomimus2.jpg


 フリーメディア素材集の Wikimedia Commonsから。Struthiomimus Panel Mount, 1916 によると、出典は、Bulletin of the American Museum of Natural History (1916)です。


 始祖鳥やシノサウロプテリクスなど、小型恐竜で特に大きく反り返るのは首(の骨)ですね。
 しかし、上のストルシオミムスをよく見るとわかるのですが、首の付け根で大きく曲がった後は、首は普通のカーブです。

 次は、カマラサウルスの幼体。こちらは首ではなくて尾の付け根で大きく反り返っています。

Camarasaurus.jpg

 こちらも、フリーメディア素材集の Wikimedia Commonsから。出典は、Memoirs of the Carnegie Museum, vol. 10 (1925), pp. 347-384 とあります。
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2007年04月26日

タイトルどおりなら大発見

 勝山で見つかった恐竜の皮膚痕のニュース(福井恐竜博)、連休を前にして、グッドタイミングなプレスリリースですね。

 しかし、毎日の英文ニュース・Mainichi Daily News、タイトルどおりなら大発見です(^^;;。


  1. Fossilized dinosaur skin found for first time in Japan

  2. KATSUYAMA, Fukui -- Fossilized dinosaur skin has been found in a 120-million-year-old rock bed here -- the first of its kind to be discovered in Japan, the prefectural board of education said Thursday. ・・・

 "Fossilized dinosaur skin(恐竜の皮膚化石)" 、正確には、"Fossilized dinosaur skin traces(恐竜の皮膚痕化石)" でしょう。朝日(英文)もタイトルは、"Fossil containing dinosaur skin found in Japan"です。


S_Trachodon.jpg ところで、図は、恐竜の古い論文をいろいろと紹介したThe Project Gutenberg eBook, Dinosaurs, by William Diller MatthewのFig32 から。クリックすると拡大します。

 トラコドン(Trachodon、)の尾の痕とあります。ハドロサウルス類のようですが、昔の論文なのではっきりしません。
 うろこというより皮膚の中にある骨、皮骨(scute)と説明があります。
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2007年04月24日

CG の質感が向上するかも

 恐竜映画などでは、CG が多用されるのですが、なんとなく軽いというか、それぞれの物体の質感がない感じでした。

 最近、脳が質感をとらえる仕組みが解明されたそうで、Nature (下記)に報告されています。質感の知覚(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)に解説があります。

 毎日では"画像の中で明るい部分と暗い部分がどう分布しているかによって、表面の光沢や明るさ、透明感といった質感を感じている"と紹介していますが、今ひとつわかりにくいですね。


 ともかく、簡単な画像処理で、質感をリアルに表現できるようになるそうで、CG のリアル感が向上しそうです。

 視覚科学に、視覚のいろいろと面白い例がありますが、ヒトは光信号をそのままではなくて、何らかの処理をして理解しているのです。
 そのひとつの例を紹介しましょう。

■輪郭を強調する仕組み

 小学校の時のお絵かきで、輪郭を黒く描いていて、"そんな黒い線はないでしょ?"と注意されたことはありませんか。
 たとえば、下のりんごの絵です。実際、赤いりんごの周囲に輪郭の黒い線があるわけではありません。

apple2.jpg 

 実は、ヒトの眼には、実際にはない輪郭が見えるのです。脳が、物の境界の光の強弱を二次微分してその輪郭を強調しているからです。
 りんごの図では、A-B の光の強弱が二回微分されると、光の強弱の"変化の変化"としてより強い信号となり、境界が輪郭として強調されて見えるわけです。

 ですから、"ふちどりが見える"のは間違いではないのです。

 ずいぶん前からわかっていることですが、ヒトの眼が、物体の大きさをすばやく捕らえようと進化した結果なのでしょう。




参考

  1. Image statistics and the perception of surface qualities
    Isamu Motoyoshi
  2. Nature advance online publication 18 April 2007

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2007年04月22日

「血族」って、いったい・・

 ティラノサウルス・レックスのコラーゲンとやらの断片がニワトリに似ているという論文がでました。しかし、時事通信のニュースは傑作でしたね。
 ・・ザウルスは、まあいいとして、体のごく一部の蛋白質の、しかもかけらの発見で、DNAが見つかったわけでもないのに・・。体の一部が似ているだけなら、ヒトとニワトリでも「血族」ですよ。


 朝日はそのまま丸写し。ちょっとはサイエンスに詳しい人いないんでしょうかね。


 以下は、朝日の記事。はずかしくて削除されるかもしれないので、全文を引用しときます(^^)。赤い部分に注目!

「ティラノザウルスとニワトリは「血族」 米研究班が分析 2007年04月13日13時02分

 米ノースカロライナ州立大学などの研究チームは、6800万年前の恐竜ティラノザウルスのからタンパク質を抽出して分析した結果、遺伝的にティラノザウルスがニワトリの「血族」に当たる証拠を得たと明らかにした。研究論文は13日付の米科学誌サイエンスに掲載される。ロイター通信などが伝えた。

 鳥類と恐竜が進化上、近い関係にあるとの仮説は唱えられてきたが、分子レベルで確認されたのは初めて。鳥が恐竜から進化したとの説を補強する材料になるとみられている。(時事) 」
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